出張撮影カメラマンが伝わるイベント写真の撮り方をお教えします

カメラをやっていると様々なものを被写体にしますが、多くの人が撮影している分野として、お祭りや行事などの「イベント」があると思います。

中には仕事の一環として、自分の会社のセミナーや発表会などの記録撮影を頼まれたりするカメラマンの方も多いのではないでしょうか?
出張撮影の中でも「イベント撮影」というのは需要が多い分野でもあります。

本日はそんな「イベント撮影」についてこれまでの経験も踏まえて上手い進め方をまとめてみたいと思います。

撮影準備編~イベント撮影は準備が8割~

まずは「撮影前の準備」についてです。

実はイベント撮影というのは撮影中よりも、事前の準備がとても大事な分野だと言えます。僕自身は準備でイベント写真の出来は8割くらいは決まってしまうと思っています。

というのもイベントの多くがタイムスケジュールや開催スペース、コンセプトが明確に決まっているもので、自ずと撮っておくべき写真や撮影に適した場所、写真映えするポイントが決まってくるため、事前にそれをどの程度想定できるかが、写真の出来不出来に直結してきます。

次からは順番にその準備の進め方を見ていきたいと思います。

0、撮影したいイベントを決める

*もうすでに撮影するイベントが決まっている方は飛ばしてください*

まずは自分がどんなイベントを撮りたいかを探して、スケジュール調整が必要ですね。

以前に少しご紹介しましたが、自治体や観光協会、イベント会社などが作っているホームページやSNSがとても参考になります。

http://kazuyami77.com/archives/685

中には地域ごとに絞り込めたり、日時やイベントのジャンルによって検索できる便利なサイトもあるので、ぜひこまめにチェックして次からの準備をスムーズに進めてください。

1、イベントの内容をよく知る

行きたいイベントが見つかったら、次にそのイベントの内容をよく知ることが大切です。上で紹介した各種まとめサイトやイベントの特設ページがある場合は、そちらを調べればだいたいの内容が掴めます。

最低限押さえておかなければいけないのは 

①日時 ②場所 ③イベントの目的 ④見どころ ⑤行き方や交通機関 ⑥会場周りの状況

などです。

①~④は当然みなさんチェックしていると思いますが、会場までの行き帰り(混雑具合)やイベント会場周りの状況(駐車場や売店、トイレなど)もチェックしておかないと快適に撮影ができません。

後ほど書いていきますが、撮影目的の場合は場所取りや移動も考えないといけないので、一般の来場者の人たちよりしっかりとチェックしておいた方がいいです。

2、注意事項を調べ、許可などを取る

*準備編の中で一番重要です*

普通のイベントは広く一般に公開されているので注意する点は少ないですが、撮影目的となると、注意したり許可を取る必要も出てきます。

疑問に思った点は観光協会やイベント主催者にしっかりと確認を取りましょう(後々のトラブルを防ぐためにも記録に残した方がいいです)

①そもそも撮影可能か ②許可申請などはいるか ③三脚や梯子、照明機材などの使用の可否 ④撮影できない場所はないか

このほかにも心配な点があれば確認しておくに越したことはありません。運が良ければ、おススメのポイントやネットなどではわからない情報を教えてもらえることもあるので、困ったことがあれば問い合わせてみるのはいいと思います。

3、イベントのコンセプトや目的を理解し、撮影イメージを組み立てる

ある程度情報が手に入って、注意事項が分かったら撮影イメージを組み立てておきましょう。

その時に大事なのが「イベントのコンセプトや目的を理解しているか」という点だと思います。これによって記録写真としての出来や人に伝わるかというのが大きく変わってきます。

↑上の写真は、キャンドルナイトの様子を記録したイベント写真です。

このイベントの目的は 「東日本大震災の復興支援」 なのでいずれかの写真の中でその目的が分かるものを押さえておかなければ、イベントの趣旨が写真を見ている人には伝わりません。

美しいキャンドルのみを撮っていくのもいいのですが、「誰かにイベントの目的が伝わるようにする」「将来見返した時にどんなイベントだったか伝わる」と言うのであれば、あらかじめイベントのテーマを理解し、それに合わせたカットを押さえるのも大切なことです。 

↑このようにあえて人を入れたりするのは雑誌や新聞の写真によくある手法ですが、「来場者がイベントを楽しんでいる様子」などを入れるのも記録写真としての意味が高まると思います。

撮影本番編~+αを見つける~

いよいよ撮影本番です。

準備をしっかりして来たら少し気は楽かと思います。タイムスケジュールの遅れや天候が変わるなどのトラブルも時には起こりうるので、対応できるように少し余裕を持って臨めるとベストです。

1、いろんな画角で撮っておく

イベント写真は後から見た時に全体の様子も分かるし、特徴的な部分もしっかり記録されていたほうがいいので、広角から望遠までいろんな画角で撮っておくのがいいです。

最初のうちは同じような画角で続けて撮ってしまいがちなので、広角で何枚か全体を撮ったら望遠で一部分を撮るように癖をつけるのがおススメです。

機材としては、理想はカメラ2台にそれぞれ「広角~標準」レンズ(APS-C機なら18mm-55mmなど)と望遠レンズ(55mm-200mm)などがあると、いろんな場面に対応できます。

カメラ2台が難しい場合はカメラ1台に高倍率ズーム(広角から望遠まで対応できる)や便利ズーム(広角からやや望遠まで対応)のレンズがあると撮影に対応できると思います。

2、「面白い」と思ったら重点的に撮る勇気も必要

仕事や誰かに依頼されてのイベント撮影はとりあえず「撮り漏らさない」ことが最重要課題です。
ただ、それができるようになってきたら「面白いと思ったものを重点的に撮る」ことに挑戦してみると、より写真を見てもらった人にイベントの魅力が伝わるかもしれません。

上のよさこいの写真は当初は撮ろうと思っていなかったカットですが、途中から降り始めた雨とスポットライトがいい雰囲気を出しているのに気づき、粘って撮ってみたものです。

このように例えば雨やドラマチックな光、イベントの様子に感動している人など、当初予想していなかったけど自分の心に訴えかけてくるものがあれば、狙ってみるといいと思います。

僕自身も

「イベント撮影の面白さ」=「予期していなかった面白い瞬間に出会えること、自分で見つけ出せること」

だと思ってその撮影にハマっています。

3、撮影後編~次のイベント撮影につなげる~

以上のようにイベント撮影の準備と本番について見てきました。

最後にその撮った写真を活かして次の撮影につなげることについて書いておきます。

1、ホームページやSNSで発信する

最近ではイベントで撮った写真をホームページやSNSで発信する方がかなり多いと思います。

イベントのメインとなっているものや主催者が許可しているものについては掲載しやすいですが、問題は人が写り込んだ場合や人を対象として撮影した場合です。

理想は現場で写真を見せて確認を取るのが望ましいです。難しい場合は個人が特定できるものは避ける、掲載した写真に「問題がある場合は対応しますのでご連絡ください」などの注意書きなどがあった方がいいと思います。

なお、例えば祭りの参加者など一般的に常識の範囲内なら写真を掲載しても問題ない事例もあります(あくまで掲載された本人が嫌がらないようなシチュエーションで)

2、撮影の経験を次や来年に生かす

イベントは毎年少しずつ違うプログラムが行われることも多いですが、基本的なテーマやコンセプトは次の年に引き継がれるので、1度撮影を経験すると次の年からの撮影が格段に楽になります。

また似たようなイベントの際にも過去の経験が使えるので、少しずつ経験を積めば次第に面白い瞬間や決定的瞬間を撮る力がついてくるのも楽しいところです。

「イベント撮影」=「人とのつながりを作ること」でもあると思っています。同じイベントに通い続けたり、いろんなイベントに行っているとカメラマン同士やイベント主催者さんとも関係を作ることができるかもしれません。
その中でネット上などだけでは分からないコアな情報だとか、いろんな面白いイベントの情報を得られることもあります。

ぜひイベントを通じて多くのカメラマン仲間やイベント仲間とつながりを作っていただくと楽しいのではないでしょうか。

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