出張撮影カメラマンがロマンティックでファンタジーなシルエット写真を撮る方法をお教えします

シルエット写真はみなさんお好きでしょうか?

影と光が作り出す不思議な写真は独特の魅力があります。

基本的な撮り方からちょっと応用編まで書いてみますので、良かったらご覧ください。

シルエット写真の魅力

光と影の逆転

ポートレート写真を撮っている方はお分かりだと思うのですが、特に人物写真のように明確に「主題」が決まっている場合、「いかに主題を目立たせるか」が重要になってきます。

そう考えると、主題である人を明るく撮ることが多い(例外はありますが・・)=「いかに光を当てるか」が重要になってきますが、シルエット写真の場合は逆転の発想が必要になってきます。つまりは「いかに光を奪うか」を考えることになります。

この逆転した発想の中で、いかに写真を成り立たせるかを考えるのがまた楽しい部分です。

想像力をかきたてる

シルエット写真は主題である人や物を影に沈ませることによって、表情を奪います。つまりは「主題そのものが表現する力」をほとんどなくしてしまうということになります。

笑っているのか、泣いているのか、はたまた怒っているのか・・・。写真の要素として重要な部分が見えないことが逆に見ている人の想像をかきたてるという面白さを持っています。

撮っている時も「こんな感じに撮ったら見ている人は何を想像するかな?」と考えながらモデルさんに動いてもらうのが楽しいんですよね。

シルエット写真の撮り方~基本編~

まずはシルエット写真の基本的な撮り方(設定)についてです。
「シルエットにする」ためのカメラの設定や条件について説明しますので、ぜひお試しください。

逆光で撮る

シルエット写真とは「主題に光が正面からほとんど当たってない写真」、つまりは背景の明るさと主題の明暗差がかなり激しい状況で撮る写真です。
簡単に言えば「主題は暗いけど、背景は明るい」という条件を作り出せばいいわけです。

そんな状況を作りやすいのが、逆光(光がカメラの正面から入ってくる状態。光→主題→カメラ)と呼ばれる状況です。よくあるのが夕日を背景に撮る状況とかですよね。

よく旅行とかに行って記念写真を撮る時なんかで「逆光で顔が暗いな」という状況があると思うのですが、あのような状況を意図的に作ってしまえばシルエット写真が撮れやすくなります。

思い切りマイナス補正にする

意図的に逆光条件で撮影するだけでシルエット写真になることもあります。ただ最近のカメラ&レンズは逆光に強い!(素晴らしい技術の進歩ですね)
普通に撮っただけではカメラが上手く調整してくれて、それなりにしっかり写ってしまうことが多いと思います。

そういう場合は、「露出補正」の機能を使って思い切りマイナス補正(暗くする)にします。僕の場合、-2.0EV~-3.0EVくらいに思い切って設定することも多いでしょうか。

カメラモードとしてはP(プログラムオート)、AまたはAv(絞り優先モード)、M(マニュアル)を使い、露出補正で調整します。マニュアルの場合は自分でかなり暗めに設定して微調整します。

なるべくすっきりした背景を選ぶ

シルエット写真は影を使って表現する写真ですので、背景がごちゃごちゃしていると主題が全く目立たなくなります。

上の2枚の写真のように空とか海といったすっきりした背景を探しましょう。
背景に障害物が入りそうなら、モデルさんに動いてもらって主題が目立つように位置を微調整します。

シルエット写真の撮り方~応用編~

だいたいそんな感じで基本編の設定をしていけば、シルエット写真になったと思います。

応用編ではさらに一歩進んで印象的な写真にするための微調整や工夫について、僕が気をつけている点について書いていきたいと思います。

より印象的に編集する

写真の明るさや色味を変えたり、編集できる環境がある方はぜひひと手間かけてほしいと思います。僕は編集にLightroomというソフトを使っていますが、他のソフトでもだいたい対応していると思いますので、それぞれに合った項目を操作してください。

まずは主題となる人や物の存在をより明確にします。「シャドウ」という影の明るさをコントロールする項目をマイナス(より暗く)します。また同時にあれば「黒レベルなどの黒色をより引き締める項目も少しマイナスめにしましょう。
反対に背景がやや暗ければ、「ハイライト」「白レベル」の項目をプラス(明るく)して、主題との明暗差を作ります。

次に背景からさらに主題を浮き立たせるため、「コントラスト」や「明瞭度」をプラスにしてよりくっきりとした感じにします。
また、背景の色味も若干修正します。例えば夕焼け空が背景なら少し赤みをプラスしたり、逆に青い感じの背景ならば少し青みをプラスするという感じです。

主題を光で包む=エッジを立たせる

今回の記事で掲載した上の3枚とこの直前の1枚との違いがわかるでしょうか?

他の3枚とは違って、上の1枚はモデルさんの周りを光が覆っているようになっています。より輪郭をはっきりさせる撮り方で「エッジを立てる」なんて言い方をしたりしますが、より印象的に見える方法です。

作例が無くてすみませんが、夕日で輝く海のキラキラを利用するなどしてシルエットになった被写体の周りを光で包むような表現方法です。自然条件や天気によってはなかなか難しいこともありますが、条件が揃えばぜひ挑戦してみてください。

ちなみに上の写真でも使っていますが、僕が強制的にエッジを立てる方法として使っているのが、無線で発光できるクリップオンストロボをモデルさんの後ろに置く方法です(カメラ→モデルさん→ストロボ)。別名「バックフラッシュ」とも呼ばれるやり方で、周囲が少し暗めの場所を選ぶと撮影しやすくなります。

まとめ

以上まとめますと

①逆光で撮る  ②思い切りマイナス補正にする  

③なるべくすっきりした背景を選ぶ

の3つを基本にしながら、より主題が浮き立つように「シャドウやハイライトを調整」「色をより印象的に」していくことをファンタジーなシルエット写真を撮る際には注意してみてください。

そしてやはり、シルエット写真は「見る人の想像力をかきたてる」ことが楽しさでもあり、難しさでもあると思います。
いろんなシチュエーションやポーズを考えながら、ロマンティックでファンタジーなシルエット写真に挑戦してみてください☆

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