先日あるご縁で、写真歴ウン十年というベテランカメラマンさんとお話をする機会がありました。バリバリに最新のミラーレスカメラを使いこなし、Instagramを中心にインターネットも自在に使っているそうです。
その中でおっしゃっていたのが「今はネットで調べればカメラや写真の技術も勉強できるし、人が撮った写真も好きに見られて、いい時代になった」ということでした。確かにインターネットが普及するまでは、写真展に足を運ぶか、カメラ雑誌を買う、写真を撮った人に直接見せてもらうくらいしか写真に触れる機会がなかったそうですね。
ただ写真にふれる機会が増える一方で、「インターネットで自分の好きな写真が見られる」=「自分の好みの傾向の写真ばかり見るようになる」というデメリットも起こっているのではないかと最近感じています。特にこれ自体は悪いことではありません。
ただ写真技術の成長という意味においては、やはり自分の好みではないものも含めて幅広いジャンル、表現の写真を見ることも大切ではないかと思うのです。
そういう意味では写真に限らず、情報というものは好き嫌いを別にして幅広いものにふれる必要があるのだと思います。
新聞やテレビ離れが言われだして久しいですが、それらの役割は幅広く公共性の高い多種多様な情報を強制的に読者・視聴者に浴びせかけ、その中で生活に役立ててもらおうというものです。(もちろん新聞を読まなくなった読者、テレビを見なくなった視聴者というだけではなく、マスコミ側の責任も大きいと思います)
インターネットは使い手主体のツールである以上、使い手の好き嫌いで情報を取捨選択することができます、というかできてしまいます。その結果、無意識のうちに自分にとって都合のいい情報、好みの情報ばかりを集めてしまうというデメリットも起こってしまいます。
写真の世界で言うと、今メインで使われているSNS(Instagram・Twitterなど)では「フォロー」という仕組みで、自分が興味を持った情報を受け取れるわけですが、相当意識しない限りは受け取る情報は自分に都合がよく、好みの情報に偏らざるを得ません。
僕は写真教室の中で写真が上達するコツを伝える時、「写真を撮る実践経験を増やすこと」と同時に「(多種多様な)写真を見る機会を増やすこと」をおススメしています。その中で特にオススメの方法として「いろいろな写真展に行ってください」とお伝えしています。
その理由は自分の好みの写真、そうではない写真に関わらず無差別に多種多様な写真を浴びることができるからです。できればテーマが決まりすぎておらず、出展者が多い写真展がおススメです。
今はコロナ渦で会場を借りての写真展は減ってしまっていますが、オンライン写真展などもありますので、探してみると頻繁に開催されているのが分かるかと思います。