今年ももうすぐ梅雨がやってきます。地域によって雨の日や雨量に差はありますが、雨の日だと撮影に出かけないという方も多いかもしれません。
ただ雨の日だからこそ撮れる写真、雨の日にしか撮れない写真もあります。
そこで今日は日本一雨の日が多いとされる金沢で撮影を続けてきた中で、おススメの雨撮影の方法についてご紹介したいと思います。
雨撮影の基本的な考え方
まずは個別のおススメテクニックに入る前に、雨撮影の基本的な考え方です。
「必ずこうしなければいけない」というものではありませんが、押さえておくと雨の日独特の雰囲気を出しやすいかもしれません。
全景よりクローズアップの方が狙いやすい
雨の日は基本的に光の量が少なく、色の鮮やかさを出すのも難しくなります。メリハリ(コントラスト)をつけるのも晴れの日に比べるとかなり厳しくなってきます。
そうなると目の前の全景を引き気味で撮るより、一部分にクローズアップした方が雨の雰囲気を出しやすいことが多いです。
レンズの使い方としては広角側より、望遠側を使うことを多くしたり、接近して撮るようなイメージです。
*もちろん、被写体や光・色の状況によっては引きで撮った方が良いものもあります。
後ほど個別のテクニックでもご紹介しますが、慣れればケースに応じて全景とクローズアップを使い分けてください。
湿度感が出るものを見つける
雨撮影も晴れの日と被写体の見つけ方は変わらないのですが、雨の雰囲気や印象をより表現するのであれば、重要なのは「湿度感」です。
独特の湿り気というかしっとりとした印象のことですね。
例えば木造の建物や古民家などは雨に濡れるとより落ち着いた色に変わりますし、路地もしっとりとした雰囲気になります。
そういった雨の日独特の撮影対象を見つけて、写真の中に取り入れるとより雨の素敵な雰囲気を表現できるのではないでしょうか。
雨の夜は夜景が狙える
雨の夜は日ごろ夜景が撮れないような暗い場所でも撮影できる可能性が高まります。
雨で路面や建物が濡れて、光が程よく反射するからです。
強く降っていると厳しい面はありますので、雨が弱まった時や雨上がりを狙うと晴れの日とはまた違った夜景が撮れるかもしれません。
個人的には常に一定の明るさがある街なかの夜景よりも、上のような木造の街並みやレンガ造りの建物などがおススメです。
個別のおススメテクニック
雨撮影の時の基本的な考え方を見ていただいたうえで、個別におススメのテクニックについてご紹介していきます。
リフレクション
雨で濡れた地面や水たまりを利用してリフレクション(映り込み)を狙う方法です。
上手く撮れれば上下対象の不思議な世界観を表現することができます。
映り込みの具合はカメラの高さによって変わってくるので、いろいろな高さから撮影してみて好みの雰囲気になるようにします。
反射する光が強すぎて余分な光が入る場合は、PLフィルターを使うと上手くいくこともあります。
クローズアップして色鮮やかな部分を狙う
「基本的な考え方」のクローズアップを使いながら、色鮮やか部分に注目した撮影方法です。
紅葉や新緑などにこの撮影方法が向いています。
雨の日には光の反射が抑えられて葉っぱの色が出やすくなります(PLフィルターのような効果)
ただ引きで撮影するとその鮮やかさが伝わりづらいことも多いので、クローズアップの方が狙いやすいと思います。
色鮮やかさをより伝えたい場合は、背景の色も工夫するといいでしょう(紅葉は黒っぽい色の方が引き立ちやすい等)
波紋やしずくを狙う
降ってくる雨によってできる波紋やしずくを瞬間的に捉える方法です。
花に付いたしずくをマクロレンズで撮影する方法が人気ですが、そのほかにも写真のように水たまりに何かを浮かべて撮影するのも面白いです。
落ちてくるしずくや波紋をキレイに捉えるにはかなり速めのシャッタースピードが必要です(1000分の1より速いのを推奨)。シャッタースピード優先オートやマニュアルモードで設定するようにします。
霧やもやを狙う
こちらはかなり条件が限られますが、雨の時に出ることがある霧やもやを利用する方法です。
明け方、雨上がりに光が差した時など出やすい条件であればぜひ狙いたいところです。
夜に逆行状態を作って雨を表現する
こちらは主に夜のテクニックになりますが、逆行状態を使って雨粒や雨の線を表現する方法です。ライトアップや街灯などを利用するか、照明機材を使います。
上の写真のように細かな雨粒を表現したい場合は、ストロボを離して(オフフラッシュ)使い、逆行状態になるようにセッティングします。
まとめと若干の注意点
以上、いくつかにわたって雨撮影でおススメのテクニックについてご紹介しました。
雨の撮影は慣れるまで大変だったり、面倒だったりということもありますが、雨の時だからこそ撮れる写真もあるのでぜひ挑戦してみてください。
これからは梅雨に入りますし、紫陽花や菖蒲など雨で映える花も多くなってきますしね。
最後に1点だけ注意点ですが、機材を雨からどう守るかについてです。
最近では防塵・防滴仕様のカメラも増えているので若干の雨なら問題ないものもあります。心配であればカメラ用のレインカバーなどを使う方法もあります。
また、急な雨でカバーが無い場合は緊急避難的にコンビニやスーパーのレジ袋を使うという方法もあります。持ち手のところをレンズに通して本体を袋の部分で守る方法です。当然撮影はしにくくなるのであくまで何もない時の方法として頭の片隅に入れておくと良いかと思います。